ルビィ・スプライト
:ブリンガー:ルビィ・スプライト
:希望「右手を伸ばす」 願い「あなたを自由に」
:基幹世界人で、アーセルトレイ公立大学の理事長の娘です。
:家がいいとこなので将来は約束されているようなものですが、それを少々つまらなく感じています。
:そのためステラナイトとして戦うこと自体に魅力を感じている、という感じです。
:自信家で、実際大抵のことはそれなり以上にこなしますが、力技であることが多いです。
:願いは「あなたを自由に」パートナーのホルンさんが自身へのネガティブな評価から解放されることを願っています。
:なおステラバトルは今回が初めてです。
「大丈夫、このルビィさんにまかしときなさい。うまくいくから」
「あんたは強い。もちろんあたしも強い! 二人で力を合わせりゃ大抵のことはなんとかなるでしょ?」
ホルン
:シース:ホルン
:絶望「どうして僕をいじめるの」 願い「あなたを自由に」
:青い角が印象に残る異端世界からやってきた隣人(ネイバー)です。中性的ですが少女です。
:ふだんは口数も少なく少し臆病な印象を受けますが、追い詰められると(特にルビィさんが罵倒されたり窮地に陥ったりすると)人が変わったように攻撃的になります。
:彼女の生まれた世界には残酷なヒエラルキーがありました。その最下層ともいえる場所で生きてきた彼女は、常に理不尽に虐げられ、生き残るために追い詰められると狂暴になるという性質を持ってしまいました。
「僕はルビィには相応しくない……僕という存在が、優しいあの人を縛ってしまっている。だから……いつか僕自身から、あの人を解放しよう」
:ホルンは自分は将来有望なルビィにはふさわしくないと考えています。彼女は自分自身からルビィを解放したいのです。たとえ、願いを叶えた先、彼女の隣に自分の居場所がないとしても。
ルビィ・スプライト
:アーセルトレイ公立大学附属高等学校、昼休み――
:慌ただしく走る少女の向かう先には、おとなしそうな少年……のようにも見える少女がひとり。
「ごめーん、お待たせ。売店混んじゃっててさ……」
ホルン
「あっ、ルビィ……いや、大丈夫。気にしないで」そう言って微かにはにかんだように微笑み返す少女。
:彼女は走ってきたルビィが座れるようにベンチを少し横に移動する。
ルビィ・スプライト
「ん、ありがと」
ホルン
「ううん……」そう言って曖昧に微笑み返す。当然のように彼女が自分の隣に座ることをいまだに信じられない自分がいた。
ルビィ・スプライト
「授業終わるのちょっと遅くなるともうめちゃくちゃ混むのよねあそこ……もうちょっとなんとかしてほしいもんだわ」
ホルン
「そうだね……ルビィは、お弁当作らないの?……その、あの……」途中まで言って少し躊躇って下を向く。
ルビィ・スプライト
「あんまり作んないわね。別に料理が苦手とかじゃないけど、苦手とかじゃないけど……」
ホルン
「そ、そうだよね。苦手なわけじゃないよね……あの、でも、もし良かったらなんだけど……」少し勇気を出してホルンはルビィの顔を見た。
「今度から、僕がお弁当作ってこようか?ルビィの口に合うかはわらないけど……」と緊張した面持ちで。
ルビィ・スプライト
:ホルンのお弁当をしばし見て、お腹が鳴る。
「そういえばホルンはいつもお弁当よね。こ、今度お願いしてもいいかしら?」
ホルン
「も、もちろん良いよ! その、ちょっと料理はできるんだ……今まで自分でずっと作ってたから」と顔を輝かせる。
ルビィ・スプライト
「ふ、ふーん。どのくらいのもんかこのルビィさんがみてあげようじゃない」
:メッチャ楽しみにしてますが直接は言わない。
ホルン
「う、うん……その、ダメなところがあったらいくらでも言ってね。ルビィが気に入るものが作れるようになるから……」と少しだけ俯いて照れたように微笑んだ。明日からはもっと早起きしなければ。
ルビィ・スプライト
「楽しみにしてるわ」
ホルン
「あ、ありがとう……頑張るね」頑張る、そう口にしたとき、料理以外のことが頭を過ぎった。そうだ、2日後には……
ルビィ・スプライト
「そういえば、ホルンも告知見たよね?」ステラバトルの
ホルン
「……うん、見た、よ。……僕たちも参加するんだよね……」わずかに表情に陰りがのぞく。
ルビィ・スプライト
「そうよ。世界の危機よ!」
:ガタッと立ち上がって。
「この日常を守るために戦うのよ、星の騎士として! 素敵じゃない?」
ホルン
:少し呆気にとられてルビィを見上げる。強気な彼女に合わせて笑おうとしたが、うまく笑えなかった。不安と恐れが心中を過ぎった。
:自分ごときが、シースとして彼女の役に立てるのだろうか?
:不意に逃げ出したい衝動に駆られる。今までずっとそうして生きてきたように。けれど
「……うん。星の騎士として、世界のために戦う……ルビィはとってもかっこいいよ」勝ち続けて願いを叶えなければ、彼女を『ホルン自身』から自由にすることはできない。
:ホルンはぎこちなく、少し優しく、どこか寂し気に微笑んだ。
ルビィ・スプライト
「……乗り気じゃなかった?」
ホルン
「い、いやそんなことないよ! 僕も……その、君と同じ願いを抱いているんだから」ホルンは慌てて立ち上がり、ルビィに応える。
ルビィ・スプライト
「そうよね、じゃなきゃ、パートナーとして選ばれないはず……だもんね」
ホルン
「うん、もちろん。じゃないと僕たちはパートナーに選ばれてない……ルビィの願いは僕の願い……きっと、そうだよ」言い聞かせるようにそう言って微笑んだ。
ルビィ・スプライト
「ホルン。あんたの強さ、私に貸してよね。……それならきっと負けないから」
ホルン
「! うん、喜んで……君が望むなら、僕は応えよう。君の願いを叶えるために」
ルビィ・スプライト
:彼女が生き残るために身に着けた自分の強さを、否定しなくていいように……自由になってほしい。
:ルビィはそう思っている。
:そうしたら、きっと……
ホルン
「……でも、少し緊張するね。ルビィは……大丈夫……?」ルビィの想いに気付かないまま、ホルンは少し苦笑する。
ルビィ・スプライト
「楽しみだわ。どんな奴と戦うことになるのか……」
「相手はエクリプス? だっけ、元はステラナイトらしいじゃない。初戦からそんなのが相手とは女神さまも……」
「なかなか面白い事するじゃない」
ホルン
「つ、強気だね……でも、その……もしも……」
「不安なときや怖いときは僕にも教えてね。傲慢な言葉かもしれないけど……僕は少しでもルビィを支えたい。……君は、いつか、ずっと遠くへ……」そう言いかけて、はっとして口をつぐむ。
「いや、なんでもない。ルビィならきっと大丈夫。僕も……君のために精一杯頑張るよ。この願いを……叶えるために」君を自由にするために、心の中でそう呟いた。
ルビィ・スプライト
「ホルンは優しいなぁ、やっぱり。大丈夫、このルビィさんにまかしときなさい。君の願いも、かなえてあげよう」といって笑います。
ホルン
:わずかに心が痛む。しかし、それで良いのだ。ホルンは微笑んだ。今、自分は彼女の隣で笑っている。少しでも力になれている。それで十分だった。
「えへへ……ありがとう。いつも強くてかっこいいルビィは僕の憧れだよ。ずっと……ずっとね」
ルビィ・スプライト
「変なホルン……」
ホルン
「え、変だった?……ごめん」少し慌てつつも、今は初のステラバトルで勝てることを祈るだけだった。
:彼女と自分の願いが叶うとき、それが別れのときだとしても。女神の結んだ縁が解かれるときだとしても。
「がんばろうね、ルビィ」ホルンはそう言って笑った。
ルビィ・スプライト
「もちろんよ、願いのためにもね」ルビィも笑い返します。
「ステラバトルまでに、そうね……シースが武器と衣装になるっていう話じゃない? だからまずは服と武器ね! 一番いいのを考えるわよ」といって慌ただしく中庭から出ていく。
ホルン
「あっ……」慌ただしく出て行ったルビィの背を見送り、少し寂しげに微笑んでホルンは弁当箱をしまって中庭を出ていく。
「そうだね、とっておきの武器と衣装を考えよう」そうすれば、君は笑ってくれるだろうから。
ホルン
:アーセルトレイ公立大学附属高等学校――放課後の誰もいない教室。
:ホルンは1人で、窓際に立ち、暮れていく空を眺めていた。
『忘れ物をしたので教室に戻る。ルビィは先に帰ってて』そう言って、彼女とは別れてきたばかりだ。
:赤く染まる空を見ながら、ルビィと出会った頃のことを思い出す。誰もが異端な自分を奇異の目で見ていたとき、彼女だけは自分をまっすぐに見てくれた。恐れずに、手をとってくれた。
:強がりだけど、優しくて、かわいくて、かっこ良い憧れの人――ルビィは、ホルンにとっては自分に手を差し伸べてくれた希望だった。
:けれど、どういう運命のいたずらか、女神は自分たちをステラナイトとして覚醒させた。――きっと、自分はルビィの足手まといになる。
「……早く、願いを叶えるんだ。そうすれば、契約は切れるよね……僕自身から、ルビィを自由にするんだ」彼女には、輝かしい未来が待っている。そこに、自分は似つかわしくない。
「それが……僕の願い。ルビィ、必ず君を解放してみせる。僕自身から。……たとえ、一人ぼっちになるとしても、僕は大丈夫だから」
ルビィ・スプライト
:ホルンの様子が気になって追いかけてきたルビィは、教室前で彼女の独り言を聞いてしまい、手に持っている鞄を思わず落としてしまいます。
ホルン
「!?」鞄が落ちた音に気付くホルン。教室の扉の方を見遣る。
ルビィ・スプライト
:物陰から出ていきましょう。
「ホルンあんた、私を自由にって、それどういう――」
ホルン
「い、いや、それは……」驚き、言葉を返せずに狼狽えて言いよどむ。
ルビィ・スプライト
:言いよどむのなら、詰め寄ります。
「ねぇ、どういうことなの!?」
ホルン
:ホルンは正面からルビィを見れずに顔を背けた。
「……それは……僕は、君には相応しくないから……だから、ステラナイトとしての願いを叶えて……」一瞬息を詰まらせ、苦し気に続ける。
「契約を終わらせる。……そして、君を僕から自由にする。君に相応しいパートナーは、僕以外にもいるはずだから」
ルビィ・スプライト
「ふさわしくないって……なんでそんなこと」
「……友達じゃない、私たち」
ホルン
:その言葉に息が詰まった。偽りない彼女の言葉が、胸を抉るようだった。
「……僕は、いつも足手まといなんだ。僕が足を引っ張ったから、同朋たちは捕まって……皆、いなくなってしまった。許されていいはずが、ないんだ。……こんな僕が、君の側にいることなんて」
「君の足枷になりたくない。君を縛りたくない。……僕のせいで、誰かが奪われるのは怖い」その声は小さく、わずかに震えていた。
ルビィ・スプライト
:彼女の過去についてルビィは多くを知らない。けれど。
「ホルンはいつも自分じゃなくて、他人のことばかりね」少し呆れた調子で。
「そういうやつだから一緒にいたいって、思ったんだ、私」
「過去に何があったか詳しくは知らないけど、許す! 誰が何と言おうと私だけは許すわ」
「あなたも自分を許してあげて。
私はホルン、あなたを過去から自由にすることを願った」
「だから……」
ホルン
:半ば唖然とルビィを見返すホルン。初めて、彼女の願いをはっきりと聞いた。
「僕を……過去から、自由にする? それは……どうして……」
:わからない。ホルンは困惑の混じった眼差しでルビィを見返した。
ルビィ・スプライト
:それには別の意味で困惑する。
「あー、その。1回しか言わないからよく聞きなさい」
「覚えてるかな、私が『あの子は理事長の娘だから恵まれてる』って陰で言われてて……それはまぁよくあることだわ。
努力してるけど分かってもらえないのは、悔しいけどしょうがないなって思ってた」
「でもホルンは『ルビィは立場に見合う努力をしてるのに』って怒ってくれたよね」
「それが嬉しかったんだ」
「立場じゃなくて、ただのルビィとして見てくれた人ってたぶん今までいなかったから……」
「そのとき思った。ホルンは本当の友達なんだって」
:誰もが立場で自分を見ていたとき、彼女だけは自分をまっすぐに見てくれた。
:ルビィにとってのホルンもまた同じだった。
ホルン
:ホルンは、しばらく言葉を失くしてルビィを見返していた。やがて、その表情が微かに切なさで歪む。
「ルビィはルビィだよ! 理事長の娘なんて関係ない……僕の……僕の大切な人なんだ。強がりだけど、本当は努力家で、優しくて……僕に手を差し伸べてくれた『希望』なんだ」
「……本当の友達……なら、側にいても許されるのかな。……君がそう望んでくれるなら」
「君の願いを、僕の願いだと言っても良いんだろうか。本当は、側にいたい……そう言っても良いの……?」
ルビィ・スプライト
「嫌だって言っても、離してあげないから」
「私わがままなの」
:いたずらっぽく笑いながら。
ホルン
:ホルンは微かに驚き、優しく微笑んだ。うっすらと瞳に涙が浮かんでいた。
ルビィ・スプライト
「それに、たぶん願いが叶っても契約は切れない」
「私もステラバトルについて多くを知ってるわけじゃないけど……見聞きした限りでは、ね」
「あなたが私を大切に思ってくれているのなら、覚悟決めなさい」
ホルン
「そっか……そうなんだね。じゃあ、僕はもうどのみちルビィから逃げられないんだね……逃がさないで、ほしい」
「君と一緒に、僕の過去を超えていきたい。きっとまだ時間はかかるだろうけと……過去から自由になって、堂々と胸を張って隣を歩ける僕になりたい」
:ホルンは心からの微笑みを浮かべる。
「わがままなルビィが、僕は大好きだから」頬を一筋の涙が伝った。
ルビィ・スプライト
「そうよ、絶対逃がさないから」そういってホルンを抱きしめます。それはとても力強く。
:少し冷たい、けれど今はその温度が心地よかった。
ホルン
「っ……!」抱きしめられたことに驚いて、ホルンはわずかに固まった。
:けれど、その体温に心の奥底でなにかが融かされていくように感じ、静かに目を閉じる。
「……ありがとう、ルビィ。……君のために、僕のために僕は戦うよ。ずっと、友達だよ」
:今度こそ、逃げない。守ってみせる。大切なこの人を。この人の生きる世界を。ホルンは心の中でそう呟いた。